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仕事以外真剣。

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「真剣にやれ!仕事じゃねぇんだ!」人生の師と仰ぐタモリ氏の名言に従って生きることに決めました。

My Favorite Movies. 28

はいみなさんどうもこんばんわjpslotusです。

本日は、ここ最近で2回目の映画のお話。
なんか興味をひかれる映画が立て続けでしてね。
で、本日ご紹介する映画は、こちら。

















My Favorite Movies. 28_b0040606_18582199.jpg






海難 1890




この映画、日本・トルコ友好90周年、エルトゥールル号遭難事故125周年記念映画と言う事です。

エルトゥールル号遭難事故というのは多分あまり知られていないと思いますけどボク的には、

「あ、この事件ようやく映画化されたかぁ。」
と言った感じの感慨があります。
とは言えボクもこの歴史事実知ったの10年前くらいですけどね。

で、エルトゥールル号遭難事故というのは、1890年に明治天皇からの親書の返礼の為に当時のオスマン帝国から派遣された軍艦・エルトゥールル号が、帰路台風に遭い現在の和歌山県樫野沖で座礁・沈没し、500名以上の死者を出した大惨事の事なのですが、この時の生存者救護と死者・行方不明者捜索などに尽力した地元民のお話は、なんでもトルコの歴史の教科書に載っているとか。
なのでこの事件の事は現在では歴史的にトルコ人の方がよく知っているらしいです。


「どこの者でも構わん、助けなあかんのや!!」


目の前の現実に利益や打算を考えず、ただ人間の本質のまま、助けを求める者に手を差しのべた小さな漁村の民の真心から広がった国家間の友好は、決して消える事はないと証明する事件がそれから100年近くを経た1985年に起こります。


1985年、イラン・テヘラン。
当時イラン・イラク戦争の只中にあったイラン共和国にイラクのフセイン大統領から、

「今から48時間以降にイラン領空を飛行する飛行機は、たとえ民間機であれすべて打ち落とすこととする。」

当然在イランの各国民は48時間以内に自国の飛行機で避難するわけですが、イランまでの直行便のない日本人だけが取り残される事態に。
当時の日本政府、航空会社も、「帰路の安全が保障されていない」という理由で救援機の派遣を断念します。

絶望に暮れる在イランの日本人。
だがタイムリミットがあとわずか数時間というところで、2機の救援機がイラン空港に降り立ちます。
その救援機を飛ばした航空会社は、「トルコ航空」。トルコ政府が大使館からの要請で日本人救済の為に緊急手配した飛行機でした。

多くの在イラントルコ人も帰国を急いだ中で、自身は更に危険を伴う陸路での脱出を選び、優先的に日本人を救援機に乗せたその時のトルコ人達の人を助ける真心は、エルトゥールル号遭難事故と全く無関係ではないはず。

この映画は、その1890年と1985年の出来事をいわゆるバトン形式でストーリーを繋いだ映画になります。


出演キャストははっきり言って私のよく知らない俳優さんばかりなのでこの演技がどうのとか、これなら他の役者さんの方が、とかそういった印象は無かったですけど、トルコ人俳優?のケナン・エジェと、主演女優の忽那汐里は2つのストーリーに一人二役で出演。

忽那さんって申し訳ないが私初めて出演作品見たんですけど、それほど演技がうまいと思ったわけではないですが、1890年のエピソードの方は喋る事が出来ない人物設定なので表情、動作ですべてを表現するしかないわけですけど、なかなかよく頑張っている感じがして他の出演作も見てみたくなりました。
1985年のエピソードの方では英語のセリフもありましたけど、発音完璧じゃん。と思ったら調べてみるとこの人、オーストラリア生まれなんですってね、そりゃネイティブだわ、失礼しました。(笑)


キャストはさておき、史実を基にした映画なんですけど、やっぱり歴史的にこういう事実があったという意味で広い世代の方々に観ていただきたい映画ではあります。
そして日本・トルコ友好記念映画という事の極めつけに、実はこの映画のエンドロールの最後になんと現トルコ大統領からのビデオメッセージが収録されてまして、一番最後にこれまたビックリしました。
トルコでの試写会にそのエルドアン大統領と、トルコ訪問していた阿部首相が同席したらしく、名実ともにまさしく国家友好の記念映画と言う事です。


そして、1890年から1985年。
100年近くを経て良心の架け橋を通した両国。
イランへ救援機を派遣した後、「なぜトルコは日本人救済の為に危険を冒して救援機を飛ばしたのか?」との質問に、当時の駐日トルコ大使は一言、こう答えたと言います。





「エルトゥールル号の時の、借りを返しただけです。」


と。



人間は言葉、文化、宗教、理念などを持つ地球上でもっとも知性の高い生物かもしれません。
しかし生物である以上、本能が行動の基盤である事は否定できない事実だと思います。


だから憎しみが憎しみを呼び、そこに争いが生まれる。
でもだからこそ逆に、感謝が感謝を呼び、そこに友好が生まれることもあるのではないでしょうか。


実際のところトルコ国民の全てが日本に友好的なのかどうかは私にはわかりません。
でも少なくとも、国家的なレベルとしては非常に良い関係にあると思います。
だから日本とトルコの友好関係は、その正の連鎖でエルトゥールル号の悲劇から今までも、そしてこれからも続いていってほしいと切に願う。


この映画を見た後、そんな感慨に浸ることが出来るのは決して私だけではないはずです。
by jpslotus2000 | 2015-12-09 20:10 | Movie | Comments(0)

by jpslotus2000